2018 USオープン Day 01

<レポート:森下 泰>

2018年8月27日(月)

昨日、夕方15時過ぎに羽田発で朝8時半ロス着。
4時間トランジット昼12時半ロス発で夜20時半過ぎにNY着。
各チェックがやたら長くて厳しい。やっと着く。
久しぶりのマイレージを使うとこうなる。地下鉄でフラッシング駅に。
歩いて30分でYMCAに着く。共同シャワーとトイレで夜中の0時過ぎに就寝。
朝起きてトレーニング。蒸し暑い朝だ。もちろん日本ほどではないがこちらも大変だ。
今は27度、33度まで上がるらしい・・・。
靴の底がはがれて転んでしまった・・・!?最悪な朝の始まり。
チェリーを買うが、そんなに入れなくてもいいのに中国人のおばちゃんは詰め込んできた。
3キロ10$。ちまき2つ食べながら会場へ。
9時過ぎでまだ会場に入れない人があふれかえっている。
今日はコート10で奈良くるみ選手が第15シードメルテンスと対戦。
好調の相手にどれだけ戦えるか?楽しみです。明日は日本人選手がたくさん出ます!

 


1R 奈良くるみ 2−6,7−6(5)、5−7 MERTENS
99位奈良くるみ。
第15シードメルテンス。今年18全豪ベスト4、ツアー優勝3回。
乗りに乗っている身長が高い選手。
2018ホバート0−6,4−6で負けている。0勝1敗。
奈良は少し締まって身長が高く見える!
奈良は15−40で苦しむが、3回のデュースの末、1−0キープ。
メルテンスは早め早めにディレクションチェンジ、コースを変えてくる。
バックドロップも形を作ってからというよりもいきなり、また、少し走らされても打ってくる。これが上手い。そこからフォアダウンザラインパスを抜いて、1−1キープ。
奈良の第3ゲーム。
なんと連続ダブルフォルト。練習でもないのではないか?生涯初だろう・・・。
1−2ブレークダウン。これをやってはいけない。特に奈良は・・・!?
奈良のフォアが振り遅れてしまう。
ラケットが上に上がってしまい、しっかり厚く当たっていない気がする。
奈良の第7ゲーム。
奈良のダブルフォルトとフォアアウト。この2つが連続して出ると厳しい。2−5ブレーク。
サービスセンターで6−2メルテンスが先取。ここまで完全に相手のペースだ!

第2セット。
奈良はネットに出て、フォアダウンザラインドライブボレーウィナー。
また、フォアアングルからスルスルと前に出て、バッククロスボレーウィナー。
1−0キープ。
バックダウンザラインリターンエース。待たずに積極的に攻めて、2−0ブレークアップ。
メルテンスが少し下がり気味だ。
奈良はそれをついて、中に入って先に攻めてバッククロスウィナー。
フォアも高い打点でセカンドを叩いて、フォアダウンザラインリターンエース。
ストローク戦よりもフォアは先に上から叩いた方がいい。
4−0ブレークアップ。このセットは行けそうだぞ!
奈良の第5ゲーム。
なぜか?ここでもダブルフォルト2つ。
相手が前に立って、プレッシャーをかけているわけでもないのに・・・!?
1−4ブレークダウン。
ここで相手が調子づいてきて、一気に4−4まで追いつかれる。
奈良の第11ゲームも片手バックスライスでしのがれて、5−6ブレークダウン。
メルテンスのサービスセンターエースで40−0の3マッチポイント。
しかし、ここでも奈良は諦めない。
低い姿勢のバックダウンザラインウィナーなど5ポイント連取で6−6のタイブレークへ。
2−2で後ろからスルスルと前に来て、バッククロスドロップボレーウィナー。
これは見事。なんの迷いも見せずにネットプレーヤーかと思うほどの度胸だ!3−2.
6−2から6−5になるが、最後は得意のバッククロスを打ち込んで、フォアダウンザラインボレーウィナー。7−5できれいに大胆に決めたあ〜!
このセットは奈良。

ファイナルセット。
0−2から0−3になるポイントは2つしのいで、1−2ブレークバック。
次の奈良の第4ゲームも2つブレークポイントあるが、バックダウンザラインからフォアボレーウィナー。集中力と積極さが相手を上回っている。2−2キープ。
メルテンスは押されて、凡ミスで3−2ブレークアップ。
ここでメルテンスはトレーナーを呼ぶ。右肩かな?マッサージなどしている。
4−3で奈良の第8ゲーム。
ここで今日、9本目のダブルフォルト。もう本人の3年分のダブルフォルトをしている感じ。
4−4で落とす。
しかし、下を向かない。バッククロスウィナーで5−5.
このライジングはどんどん良くなっている。
メルテンスの第11ゲーム。
サービスセンターエースで40−0.
ここで連続ダブルフォルト。しかも、ブレークポイントあり。
ゲームは取れなかったが、メルテンスもかなりのプレッシャーを感じているのだ!
5−6キープ。
最後はこのゲーム3つ目のバックミス。得意のショットが最後のゲームだけ入らなかった。
5−7で惜敗。2時間43分の長い試合に終止符を打った。実に惜しい試合だった。
しかし、最後まであきらめない奈良らしい粘りとしつこさと新しい攻めのプレーを発見したと思う。

奈良のインタビュー
「今日はここ何週間、フォアでもバックでも動きが早くなっているので、チャンスは打っていこうとした。アンフォーストエラーは多かったですか?
自分から打っていこうとしているから出てしまったかも。
いつもはもっとフォアで組み立てているのを今日は高いボールを使うより、フィジカルを作ってきたのでコートの中に入ってやろうとしていた。
第1セットはそれがかみ合わず、第2セットも前半リードしたが、すごくいいかというとそうでもなかった。4−4に追いつかれてから、自分のやりたいことができてきて、逆に早いテンポで攻めた。バックはさらに自分の武器を見つけたと思えた。
フォアも少しタイミングが早く打てるようになったと思う。
第2セット、40−0と3つマッチポイントがあった。
そこから勝ちたいというよりは捨て身というか?拾ったチャンスだったので、このレベルをキープして、競っていこうと思った。
サービスに関しては体が固くなってしまって、フィーリングがなくて苦しかった。
第3セット、4−2の30−15でやったダブルフォルトは痛かった。
相手にリードした時に、ギアを上げられたら良かった。
3−2でメディカルタイムアウトを取られたが、あそこは早くいきたいと思った。
4−2に5−2にできるポイントもあったので悔やまれる。
私はついて行くのに精いっぱいだった。
相手は良くない中でミスを少なくやってきた。そこが私との違いだと思う。
アメリカシーズンに入ってきて2週間、トレーナーと共に体を強くしていくうちに、ゆっくりは自分の強みだが、フィジカルの面が強くなってきたのでテンポを上げても行けるのではないかと思えてきた。
最後は勝ちかったという気持ちが悔しさに表れたと思う。
やってきたテニスは自分でも自信を持てるようになってきた。
コーチたちもそう言ってくれている。これを続けて楽天オープンに向かいたいと思う。
グランドスラムでは今年結果が出ていないので悲しいし、悔しい、苦しい1年だった。
その中でベストを尽くしてきたので、決して後悔はない。
苦しい試練は次に繋がると思う。来年は勝てるように頑張りたい。
下がってプレーするのは必要。前回はメルテンスが中に入って何もできなかった。
今回は相手の時間を奪うことができた。こういうプレーをやっていきたいという目標ができた。前向きなプレーだったと思う。発見があった試合だった。」

1R WAWRINKA 6−3,6−2,7−5 DIMITROV
ワイルドカードのバブリンカ。第8シードディミトロブ。すごい1回戦だあ〜!
2セットアップのバブリンカ。バブリンカの第4ゲーム。
ディミトロブのバックリターンがかすりミス。
バッククロスもゴロで転がっていく・・・!?どうしたんだ?ディミトロブ?
プレッシャーか?プレーそのものが良くないのか?まさかのストレート勝ちのバブリンカ。

1R KUZNETSOVA 3−6,7−5,3−6 V.WILLIAMS
第2セット、クズネッツォバの第9ゲーム。
マッチポイントがあったが、強力なサービスで切り抜ける。4−5キープ。
ビーナスの甘いセカンドをフォア逆クロスリターンエースで叩く。5−5ブレークバック。
このセットはクズネッツォバの7−5.1つのショットで流れが変わる。
最後はビーナスが勝利。長年のライバル同士の素晴らしい試合だった。

1R HALEP 2−6,4−6 KANEPI
まさかの第1シードハレップが1回戦負け!大物食いのカネピがやってのけた!
チャンピオンがこれではダメです!

1R MURRAY 6−7(5)、6−3,7−5,6−3 DUCKWORTH
第1セットを奪われたマレー。その後は落ち着いていた。
第2セット、5−3でダックワースの第9ゲーム。
マレーのフォアダウンザラインリターンエース。サーブ&ボレーにくるが、サービスのコースが甘いとこうなる。
また、走らされてからフォアクロスが深い。決して、速くないが、相手は驚いてミス。
ダブルフォルト、ラブゲームブレーク6−3で取り、セットオール。
そのまま、マレーが勝利。早く、実力を出してトップ4には戻ってきてほしい。
やはり、フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、そして、このマレーのトップ4が安泰でないと男子は面白くない。ここにデルポトロや錦織圭が割って入ろうとするのが面白いのだ!

1R STEPHENS 6−1,7−5 RODINA

1R AZARENKA 6−3,7−5 KUZMOVA
第2セット、クズモバの第5ゲーム。
アザレンカのフォアダウンザラインアプローチが甘く、クズモバのフォアクロスパスウィナー。こちらも強気だ。何とかアザレンカが勝利。復活なるか?アザレンカ!道は厳しい。

1R DEL POTRO 6−0,6−3,6−4 YOUNG
第3セット、4−4でヤングの第9ゲーム。
デルポトロの渾身のフォア逆クロスはハードコートかと思うほどの跳ね方。
ヤングの腕が後ろにもげてしまうほど・・・の感じだった。
5−4ブレーク。
最後はサービスセンター、フォアリターンが大きくアウト。
ケガからここまできたデルポトロ。2度目のUSオープン優勝も近いかも・・・!?
ケガした後、才能ある選手がそれ以前より努力するとこうなるのです!

1R VICKERY 3−6,6−1,1−6 SVITOLINA

1R ISNER 7−6(3)、6−3,6−4 KLAHN

1R DIYAS 4−6,6−7(4) PLISKOVA

1R SHAPOVALOV 7−5,5−7,4−1RET AUGER-ALLASSIME
第28シードシャポバロフは19歳。
予選上がりアウガーアリアシムは8月8日で18歳になったばかりだ!
同じカナダ。恐ろしいカナダ勢だ!
第1セット、アウガーアリアシム4−1リードからシャポバロフ7−5で逆転。
第2セット、シャポバロフ4−1リードからアウガーアリアシム7−5で逆転。
4−1シャポバロフリードで棄権勝ち。アウガーアリアシムは足が途中きていた。
シャポバロフのダイナミックさはいいが、ミスが多い。

1R RAONIC 7−6(4)、6−4,1−6,6−3 BERLOCQ

1R JABEUR 1−6,3−6 BARTY

1R RAMOS-VINOLAS 3−6,2−6,3−6 KHACHANOV

1R KUBLER 6−3,6−3,6−4 BAUTISTA AGUT

1R CORIC 6−2,6−2,5−7,6−4 MAYER

1R M.ZVEREV 6−4,6−2,4−6,6−7(2)、2−6 FRITZ
ファイナルセット、ミーシャ・ズベレブの第5ゲーム。
サービスエースはあるが、暑さのためか?フラフラのミーシャ。
遠目でもわかるへばり方だ!バックドロップをすぐに打って、それを読まれて、フリッツのバッククロスウィナー。3−2ブレーク。
かたや、フリッツはサービスエース連発。ストロークもサイドに振ったら、取れない・・・。
最後はサービスセンターエースでフリッツが2セットダウンから大逆転勝利!
ミーシャはふがいなし・・・!?

1R THIEM 6−3,6−1,6−4 BASIC
最後はサービスセンターに決めて、キッチリとストレート勝ちのティエム。

1R LOPEZ 2−6,5−7,4−6 VERDASCO

1R ROBREDO 3−6,6−7(1)、4−6 TSITSIPAS
予選上がりのロブレド。第15シードチチパス。
2人とも片手バックハンド。チチパスの方が攻撃的だ!
チチパスのサービスワイドエースで6−3先取。
逆クロススマッシュのように左に上げてリストを返して、フラットで角度を付けたよ!
第2セット、チチパスの第10ゲーム。
ロブレドの粘りのバックムーンなどで15−40のチャンス。
ここでもチチパスは回り込んでフォアダウンザラインウィナー。
もう繋ぐテニスは終わりですよと言っている感じがしたよ!5−5キープ。
タイブレークを制したチチパスが第3セットも奪って、ストレート勝ち!
応援は両者互角だった!

1R LORENZI 4−6,6−4,7−5,6−1 EDMUND

1R SOCK 6−0,7−6(4)、6−2 ANDREOZZI

1R MUGURUZA 6−3,6−0 ZHANG

1R HARRISON 6−7(4)、7−5,6−4,3−6、4−6 ANDERSON
1セットオール、アンダーソンの第5ゲーム。
サーブ&ボレーの横をハリソンのフォアクロスリターンエースが抜けていく。
0−40のピンチ。しかも、アンダーソンは両足がつっている。トレーナーは呼ばない。
3回のデュースの末、3−2キープ。
ハリソンのペースだ!しかも、アメリカの応援・・・!?
しかし、最後は復活のアンダーソン。
3つ目のマッチポイント。サービスワイドに叩き込む。6−4ファイナルセット勝利!
こういうところが強くなった。メンタルはこんなに強くなかったが・・・。4時間14分。

ナイトセッション
1R S.WILLIAMS 6−4,6−0 LINETTE
第17シードセリーナ。実際は永久第1シードだと思うけど・・・。
フレンチオープンの時よりもかなり締まった体付きになった。さすが!
リネットの第3ゲーム。
セリーナはバッククロスから少し浮いたパスを迷わず思い切り詰める。
バックボレーウィナー。こういうのが他の人と違う動きだ!
リネットもこれだけの観衆と相手とアメリカ人に対して、実に堂々としている。
速いストロークにも負けないのだ!2−1キープ。
さすがにセリーナのストレート勝ち。優勝に向かってまっしぐらだ!

1R NADAL 6−3、3−4ret FERRER
第1シードナダルが大先輩のフェレールと対戦だ!ナダルの24勝6敗。すげ〜!
ナダルはクロヒョウだね!真っ黒で筋肉もりもりです!
フェレールのフォアダウンザラインがわずかにアウト。
やはり、全盛期に比べて、正確さに欠けている。当たり前か?それを承知で戦っているのだ。
ロブレドもそうだ。自分の力が衰えてきているは自分がわかっている。それでも戦う男たち。
かっこいいなあ〜!
ナダルが5−3キープ。
フェレールは押していても最後はわずかにフォアクロスがサイドアウト。
それでもギリギリを狙わないとナダルには通用しないのだ!
最後はフェレールのフォアが大きくアウト。6−3ナダル。

第2セット。
1ブレークずつの2−2でナダルの第5ゲーム。
フェレールのランニングフォアダウンザラインパスウィナー。
スーパーショットで3−2ブレークアップ。ギリギリに落ちた。
フェレールのショットが生きてきた。ドロップショットで4−2キープ。
ナダルのサービスエースで4−3となったところで会場が騒然とした・・・!?
2人が握手をしている・・・!?
一瞬、ナダルが棄権と思ったが、フェレールが棄権を申し入れた模様。
インタビューでは最後の試合になったと言っていたフェレール・・・!?
あまりにも悲しい最後の試合だった・・・。
思い出すのはここUSオープンの2008年。
錦織圭が世界に通用すると思わせてくれた4回戦。ファイナルセットの末、錦織圭が勝利。
第4シードのフェレールの姿は私の脳裏に焼き付いている。素晴らしい態度だった。
ダニエル太郎がフレンチオープンジュニアで初勝利した後、「あれだけ練習をする人はいないです。練習でもこの世で最後の1球だと思って打て!」と言われたそうです。

PS.
しかし、今日は蒸し暑かった。日本ほどではないが、見ている方も苦しい。
選手はなおさらだろう。
奈良選手は40−0のマッチポイントでもあきらめなかった。
ゆっくり繋ぐ方が安全だが、それを破って攻めた。後ろからスルスルと前に行くのはいい。
日々進化しようとしているのだ。このレベルでも・・・。
勝てなかった悔しさで泣いていた。これをばねにするだろう。
初日はとにかく眠い。パソコンは動かないし、メールは送れないし・・・。
いつもの事件がここグランドスラムでは簡単に起こる。
明日は5人出てくるので大変だ。インタビューもままならないなあ〜!忙しすぎる〜!
ナダルがフェレールに棄権勝ち。突然の出来事だった・・・!?お疲れ様です・・・!?
紳士のプレーヤーにはこういいましょう!

2018 USオープン Day 01        <レポート:森下 泰>